2016年9月11日日曜日

水野敬也 「LOVE理論」  (醜形恐怖)


LOVE理論 Kindle版
水野敬也  (著)


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《本文より》

 自分の顔が嫌いだった。

 朝起きると、いつも顔がむくんでいる。ただでさえ腫れぼったい一重まぶたなのに、それが余計に膨らんで見える。毎朝、鏡に映るのは、吐き気のするような顔だった。通学路で女とすれ違うときもうつむいて顔を見られないようにして歩いた。

 何度も病院に行った。「顔がむくむんです」と訴えた。しかし内科の医師は、決まって首をかしげるだけだった。それでも俺はしつこく、繰り返し通院した。最終的に一通の紹介状を書かれた。あて先には「心療内科」と書かれてあった。

 心理学の言葉で「醜形恐怖」というのがあるらしい。顔の一部に対して病的に執着する強迫観念の一種。まあそんなことはどうでもいい。とにかく俺はこうして、思春期を女とまったく話さずに過ごした。



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恋愛指南の本なのですが、ドラマ化されていて、すでにDVDが発売されているとのこと。

これ。↓




不可能(全くイケメン要素のない学生が女性とつきあうこと)を可能にするためのテクニックが、怒濤のごとく語られています。

どれもこれも実践経験を踏まえてた「理論」で、すべてにリアルな納得感があるので、バカらしいと思いつつも、あっというまに読了してしまいました。


上の「醜形恐怖」の話は、怒濤の理論が語り尽くされたあとに、出てきました。

そして、その後には、作者のことをディカプリオに似ていると、本気で語る、けなげな彼女の話が綴られています。

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 顔がむくむという強迫観念に悩まされ、自分の顔に劣等感を持ち続けた七年間。一日たりとも自分の顔を恨まない日はなかった。しかし、そんな日々も、彼女の存在によって救われた。

 今から言うことは、この世界における、偉大な真実の一つだ。

 女は、好きになった男の全てを好きになる。
 ブサイクであっても、チビであっても、デブであっても、貧乏であっても、バカであっても、歌を歌えなくても、走るのが遅くても、女は惚れた男の全てを好きになる。

 これは俺たち男を取り巻く世界の、偉大なる真実だ。
 そして、もう一つ、この事実を付け加えておこう。

 この世の中には、キムタクよりお前のほうがカッコイイと言う女が必ずいる。

 それほどに、女は、自分だけの物差しで男を見ている。それが女という生き物なのだ。


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顔をあげて、出会うための努力を全力で行って、そういう愛情を手に入れなさい、という本でした。





※参照
太宰治「津軽」 (吹き出物)(ニキビ)


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